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水戸女子高等学校
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学校長より

飾りウェーブ

令和4年度

3月

今年も三月となり、蛍雪の功成った三年生を送り出す時となりました。新卒業生の保護者の方々には、心からの祝意とともに、三年間にわたる本校教育への御協力を厚く感謝申し上げます。

 

特に今年度の三年生は、入学前からの国の新型コロナウイルス感染症対応により、前代未聞の長期休校や学校行事の相次ぐ中止など、深刻な影響を受けた学年でありました。しかしながら常に明るく、前向きに取り組み続けた姿勢は称賛に値するものであると確信しております。先月は延期された修学旅行を実施いたしました。多少の不安はありましたが、体調不良者はなく、最後の良い思い出づくりになったと共に、三年間の成長を感じることができ、温かな気持ちになりました。

 

修学旅行の見学先のひとつに知覧特攻平和会館があります。元々少年飛行兵等が操縦訓練を行う施設でありましたが、戦況の悪化に伴い昭和二十(一九四五)年に本土最南端の陸軍特攻基地となり、二十歳前後の若い隊員達が出撃し、尊い命を落としたのです。特攻平和会館では、特攻作戦で戦死された一〇三六名の遺品や遺書等が展示されており、特攻を通して戦争の虚しさや、平和の大切さ、命の尊さを後世に伝え続けています。涙ぐむ生徒の姿が見られ、彼女達の心にも響いたものと思います。

 

数々の遺書を読んでいると平和の有難さや命の大切さを感じると共に、毎回思うことがあります。高校生と同じ世代にもかかわらず、実に美しい文字で書かれています。そしてとても豊かな表現力を感じます。幼少の頃から正しく文字を書くことが徹底されていたのだと推察します。さらに日々の学業の中で文章の表現力も徹底した指導がなされていたものと思うのです。果たして七十八年間で教育はどれほど進歩したのか疑問に思うのです。豊かで便利な時代の中での現代の教育に対して、彼らの遺書は警鐘を鳴らしているのではないでしょうか。

 

新卒業生の巣立ち行く時を迎えて、感慨も無量でありますが、ひたすらその人生に幸多かれと心より祈ってやまないのであります。