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水戸女子高等学校
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校舎と生徒

学校長より

飾りウェーブ

令和4年度

5月

ここ数年、私立学校における新設・募集停止等の動向に大きな変化が見られます。令和四年度に全国で新設された私立高校は六校ありますが、そのうち五校が広域通信制高校であります。募集停止や休校、廃校になった高校は五校ですが全て全日制なのです。少子化をはじめとする急速な社会の変化だけとは言い切れない実態があります。

高等学校通信制課程は、教育の機会均等の理念に基づき、勤労青年に高校教育を受ける機会を提供するものとして昭和二十三年に制度化されました。近年では勤労青年に代わり不登校・中退経験者、経済的な困難や課題を抱える生徒の学びの機会となっています。通信制課程の設置については、最低収容人数二四〇人以上、教員五人以上など極めて弾力的な運用が可能となった結果、全日制の生徒数が減少する一方、広域通信制は学校数、生徒数が急激に増加し、二万人の生徒数を抱える高校まで存在しています。そのような中、本来の高校教育の目的ではなく、利益優先の学校経営が全国的に問題となっています。

広域通信制高校の一部の法人では、収益事業として中学校段階の通信制フリースクールを設置し、六年一貫教育や予備校との協力で大学受験対策を行い、学校教育法上の中学校と誤解するような宣伝をしている事例があります。また百人を超える生徒を教師一名で面接指導を実施している事例、単位認定でも不適切な事例が相次いでいます。様々な株式会社が学校法人を設置し広域通信制高校を設立するのは、収益事業としての判断があるのだと推測できます。本来の教育の目的とは乖離した状況が続いています。

全国私立学校審議会は二十年以上も文部科学省へ改善を申し入れています。平成二十八年にようやくガイドラインの策定・改訂を行い、本年四月に通信教育規程等の一部改正が施行しました。現在も見直しが進んでいるところですが、注視していきたいと思います。

私立学校は建学精神の下、日々生徒たちと心を通わせる「師弟同行」の場であります。本来の教育を見失うことなく誇れる学校を目指したいと思います。