令和3年度
4月
四月に入り、いよいよ令和三年度のスタートとなりました。今月から一年生を迎えて、学校内もさらに活気づくことでしょう。今年も新入生の保護者の方々との新たなご縁が生まれたことを心から喜ぶとともに、生徒の育成に共に力を尽くしたく、このご縁を大切にしていきたいと決意を強くするものであります。
本校は昭和六年に「社会に貢献する女性を育成する」という建学精神によって創立された学校です。当時は選挙権をはじめ、多くの分野で女性は差別を受けていた時代でありました。そのような社会状況の中で、創立者鈴木米蔵先生は、これからの社会は必ず女性が進出するという考えの下に、女子の商業学校として本校を創立したのであります。当時の茨城県内の状況をみると、男子の商業学校が四校(水戸・湊・下館・古河)ありましたが、純然たる女子の商業学校は存在していなかったのであります。全国に目を向けると二十数校の女子の商業学校が存在していましたが、特徴的なことは、大正六年創立の神戸市立女子商業学校を除いてすべて私立学校であったということであります。当時の女子商業学校の多くは、時代を先取りする先見性と使命感を持った私学人の努力によって運営されており、女子商業教育の歴史を築いてきたのは正に私学でありました。茨城女学校として女子の商業教育を目的とした本校の創立が、茨城県の女子中等教育に新生面を切り拓いた意義は大きいものがあります。
茨城女学校、茨城商業女学校、水戸女子商業学校、水戸女子商業高等学校、そして水戸女子高等学校と変遷し、今年度本校は九十周年を迎えることになります。時代は変わろうとも実学を通して「社会に貢献する女性を育成する」という建学精神は不変なのであります。九十周年という記念すべき年に、本校の原点に立ち返ることが最も大切であると考えています。私立学校の命である建学精神に、さらに磨きをかけていくことを本年度の大きな目標としていきたいと思いを新たにしている次第です。
教職員一同は、「当たり前のことを、真面目に、心を込めて」を心掛け邁進する所存であります。保護者の方々の御理解と御協力を宜しくお願い申し上げます。