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水戸女子高等学校
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学校長より

飾りウェーブ

令和2年度

1月

年の初めにふさわしい穏やかな正月でありました。静かな元旦の気分を味わいながらも、新しい年への思いを新たにした次第です。

今年初めての学校通信を作成するにあたり、二十年前と十年前の一月の学校通信を再度確認してみると、平成十一年一月は、藩校を取り上げており、平成二十一年一月は私塾の話題でありました。偶然にも十年周期で藩校と私塾をとりあげていたのは、自分のことながら興味深いものがありました。

平成十一年一月は米沢藩の藩校「興譲館」を紹介していました。上杉鷹山は破綻状態にあった米沢藩を立て直した人物として有名です。鷹山が藩主として米沢藩に入った時、財政的な問題と同時に、他人を思いやる心、美しい心、即ち「忍びざるの心」が人々から失われていたことに危機感を持ちました。人々の意識改革に着手したところに鷹山の偉大さがあります。そして興譲館を任された細井平洲は実学を重んじた人物でありました。

平成二十一年一月は「義塾の原点(童門冬二著 リプアルテ)」を取り上げています。藤田東湖の青藍舎をはじめとして、吉田松陰の松下村塾、緒方洪庵の適塾、廣瀨淡窓の咸宜園、福沢諭吉の慶應義塾などの私塾に共通していたのは「実学」と「社会貢献」でありました。幸いにも松下村塾、適塾、咸宜園を訪問する機会に恵まれた私は、当時の息吹を感じることができたのです。

本校を創立した鈴木米蔵先生が理想とした教育を一言で言えば、実学(商業教育)を通して人間性豊かな、社会に貢献できる女性を育成することでした。女子教育に対しての意識が低い時代にもかかわらず、女子の実業教育を実現した意義は大変深いものがあります。江戸時代の藩校、私塾に共通する本校の建学精神を再認識し、さらに高めていくことを創立九十周年の年頭に決意する次第です。

ご息女の未来に私たちの夢を託して、教職員一同、思いも新たに邁進する所存です。保護者の方々の御理解と御協力を宜しくお願い申し上げます。