令和元年度
1月
謹んで新年のお喜びを申し上げます。
年の初めにふさわしい穏やかな正月でありました。静かな元旦の気分を味わいながらも、新しい年への思いを新たにした次第です。
はじめに、私の授業で取り上げている第十三回親と子の自慢作文コンクールにおきましては、保護者の方々にも多数の応募をいただきました。誠にありがとうございました。今回は瀧本裕子さんが茨城県議会議長賞を、黒羽奈月さんが教育長賞を、末永琢也さんが優秀賞をそれぞれ受賞されました。本当におめでとうございました。ちなみに生徒の作文も教育長賞、茨城新聞社賞など、昨年を六名上回る十三名が入賞しました。
昨年十万部を超えるベストラセラーになった「ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書)」という本があります。著者の宮口幸治さんは、大学で臨床心理系の講義を担当されている精神科医です。さらに十年以上医療少年院で多くの少年たちを指導されてこられた方です。この本の内容は衝撃的で、非行少年たちの「反省以前」の深刻な問題をとりあげています。タイトルの通り、ケーキを三等分できない少年たちや、簡単な足し算や引き算ができない、簡単な図形を写せない、短い文章すら復唱できないなど、非行に関して反省させる以前の課題が深刻な状況です。
私が最も興味を持ったのは非行少年たちの実態ではなく、著者が指摘している学校教育のあり方でありました。現在主流となっている生徒への支援体制の主流は「ほめて伸ばす」です。苦手なことを努力させると自信をなくすので、得意なところを見つけて褒めて伸ばすという危うさを問題点として指摘しています。支援者が伸びる可能性を確認せずに、「本人が苦痛だから」という理由で苦手なことに努力させないとすると、子どもの可能性を潰していることになります。自尊感情が実状と乖離していることが問題だという、著者の主張は重大な指摘として受け止めたいと思います。
ご息女の未来に私たちの夢を託して、教職員一同、思いも新たに邁進する所存です。保護者の方々の御理解と御協力を宜しくお願い申し上げます。