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水戸女子高等学校
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学校長より

飾りウェーブ

令和元年度

2月

先日出版社の取材で「いい学校とは」という質問を受けました。様々な切り口があると思いますが、私がすぐに思いつくのは「温かな学校」です。規律と温かさが両立している雰囲気をめざそうと強く感じたのは、

六年前に陪聴者として出席した「歌会始」がきっかけでした。

歌会始の起源は必ずしも明らかではありませんが、文永四年(一二六七)一月十五日に宮中で歌御会が開催されており、以降歌会の記録が断続的に見受けられます。江戸時代はほぼ毎年催され、明治、大正、昭和と改革を加えられ現在に至っています。天皇陛下をはじめとする皇室の方々と、国民が同じ会場で執り行う国民参加の文化行事となりました。

前夜に東京へ移動した私は、当然ながら大変緊張して当日を迎えました。坂下門から参入し、北車寄から宮殿に入ると、控室である春秋の間へと案内されました。すでに三十人ほどの方々がいらっしゃいましたが、張りつめた緊張感がさらに高まっていきます。しかし宮内庁の方々の心のこもった応接が、時間が経つにつれて私の気持ちを「堅苦しさ」から「温かさ」へと変えてくれたのです。そして正殿松の間で全員起立の中、お出ましになられた天皇陛下のお姿を拝見できた時、私の心の中は「温かな心」に満たされました。歌会始が終わり、天皇陛下が御退出になられる時、私たちに心を込めてお礼をされると、「温かさ」は最高潮となり涙があふれるばかりの感動的な瞬間となりました。

教育には「型」が必要です。何事も型を体得することから始まります。もっと大切なことは型を支える「温かさ」であることを歌会始に出席して学びました。その「温かさ」こそがわが国の歴史を支えているのだと強く感じました。そしてその「温かさ」は「当たり前のことを、真面目に、心を込めて」から自然に生まれてくるものだと確信しています。

教育改革は目に見えることを求めています。社会全体が息苦しさを増す中で、目には見えない「温かな学校」をめざすことは、私立学校の使命であります。建学精神の下、「師弟同行」を意識して年度末を迎えたいと思います。