7月

私が校長に就任したのは平成十年でした。平成十年七月の学校通信は、高卒就職者の離職状況を取り上げていました。平成六年卒の就職者が三年間で離職した割合は、四十三・二%にのぼり、学校が果たすべき責務を考える内容でした。

あれから二十年以上経ち、最新のデータを調べていくと、残念ながら状況は大きく変わっていないようです。平成二十六年度卒の三年間の離職率は四十・八%で、相変わらず四十%台の高い離職率が続いています。この二十年間で文部科学省はキャリア教育を進め、さらに労働環境は改善されてきたにもかかわらず、数%の減少にとどまっています。改めて私たちはこの状況を深刻に受け止めなければならないと思うのです。

労働政策研究・研修機構の資料に高卒女子の退職理由のデータがあります。それによると、「人間関係がよくなかった」が三十三・一%、「労働時間・休日・休暇の条件が合わなかった」が二十八・二%、「仕事が自分に合わない」が二十五・五%と続いています。仕事の適性よりも、人間関係が大きな理由になっていることに注目しなければなりません。人間関係構築能力は、学校生活全体の中から醸成されるものです。平成六年七月の学校通信は、ある企業経営者の講演の一部を紹介しています。「世の中は自分の思い通りにならないことばかりなのに、なぜ学校ばかりが生徒の思い通りにさせてしまうのか。学校は社会に対しての責任を考えているのか。」重く受け止めなければならない言葉です。

先月大阪市で開催された全国私学経営研修会で地元企業経営者の方が「面接時の質問で以前は仕事の内容に関するものが多かったが、最近は休暇や待遇に関するものが多くなった。」と発言されていたのが印象的です。平成六年の企業経営者の言葉につながる状況です。

生徒の多様化は時代の流れかもしれません。だからこそ建学精神に基づいた人材を育成していく私学の使命を大事にしたいと思います。

今月は第一回学校参観を開催します。ご来校をお待ちしています。

最後になりましたが、一学期における保護者の方々のご理解とご協力を深く感謝申し上げます。