"JavaScriptをONにしてご覧ください"
水戸女子高等学校
入試情報・募集要項 お問合せ
校舎と生徒

学校長より

飾りウェーブ

令和元年度

6月

この時期の学校通信は、七年続けて南三陸町を訪問した時の様子について述べてきました。今年も同じ時期に私は南三陸町へ車を走らせました。

平成二十四年は、絶望的な状況の中でも必死に復興へ向けて頑張っている地元の方々の姿から、「すべてを飲み込んで全力を尽くす」心を強く感じ、翌年は復興が着実に進んでいる様子から、勇気と美しい海を感じ取るための「真っ白な気持ち」でいることの大切さを学びました。そして二十六年は「忘れない」という大事なことを、二十七年は福島県の帰還困難区域の厳しい現実から「続いている、そして続ける」ことを、二十八年は「責任」を感じ、二十九年は「なつかしい未来」に向けて力強く復興を遂げていることを実感しました。昨年は災害と「共に生きる」ことに思いを馳せたのです。

瓦礫の山と鉄骨だけとなった防災庁舎を見て、もはやこの場所での復興はあり得ないのではないかと、悲観的になったのは八年前です。幾多の困難を乗り越え、土地はかさ上げされ、力強く復興が進んでいます。もはや同じ町とは思えないほどです。あの時と同じなのは美しい海です。南三陸さんさん商店街は、多くの方々で賑わいを見せています。

南三陸町の復興のゴールが少しずつ見えてきた今年、強く感じたのは「覚悟」でありました。人口減少が続き社会が大きく変容する中、復興後の町は元通りの活気を取り戻すことができるのか、それはすべての人の覚悟にかかっています。復興をめざして努力を重ねると同時に、復興後の覚悟が問われる段階にきたと感じています。

覚悟が問われているのは教育も同じです。少子化が加速し、教育のあり方も変わっていく中、学校経営はさらに厳しさを増しています。戦略や戦術が通用しない時代となりました。最も大切なことは覚悟を決めて取り組むことだと強く感じています。

生徒たちの未来を見据え、幸福を願い、あるべき女子教育をしっかりと進めていく覚悟を決めて、今年の訪問を終えました。