7月

わが国における教育改革の動きは茨城県にも波及し,県立高校のあり方についても,統廃合をはじめ,いろいろな面で改革が進められています。学区制の撤廃は現実のものになろうとしています。海外への修学旅行も容認され,今年度は数校でエアコンも配置される計画があります。なかでも「校長裁量による特色ある学校づくり支援事業」は,これまでの公立高校のあり方を大きく変える事業であると認識しています。特色ある教育活動を計画した学校には上限なしの予算を計上し,提案がなかった学校には必要最低限の予算しか配分されないことが基本線にあるからです。この事業そのものは数年で完結するようですが,大きな流れとして考えれば,県立高校のシフトが「平等」から「格差容認」へと大きく変わろうとしています。別の言葉で表現すれば,「公立の私学化」が本格的に進んでいく時代になったと言えます。

少子化というきびしい現実の中で,私学はさらに特色を発揮しなければならないことは言うまでもありません。中学校卒業者がピークを過ぎた頃から,全国の私学は特色づくりに取り組み始めました。校舎を新築し,制服を一新し,別学を共学に変更する学校も多くみられました。進学や部活の実績をあげて生徒募集を有利に進めようとする私学が主流となり,現在も共学化の動きは続いています。

特色ある教育を真剣に考える時,「本当の特色とは何か」を強く意識する必要があります。言うまでもなく,教育界には多くの課題や問題があります。しかしながらその問題に対して,誠実に真剣に取り組んでいる学校はそれほど多くないのが実態です。状況を嘆いたり,その要因を外に求めたりする学校や教員の方が多いはずです。本校は,目の前にある教育的課題に真剣に取り組むことの積み重ねを大事にしていきたいと思っています。その姿勢こそが,大きな特色につながるはずであると考えているからです。

生徒達を取り巻く社会環境の悪化や子供たちの気質の変化を嘆くことなく,建学精神に基づいた確固たる教育活動を展開していく気概を大切にして,私立学校としての特色と使命を考えていきたいと思います。