2月

先月は各私立高校の入学試験が行われた月でありました。本校では九日に推薦試験、十七日に一般入学試験を実施し、朝早くから受験生や引率の先生方、さらに保護者の方々の姿がありました。私にとって入学試験日の朝に受験生の様子を見る一時間半の時間は、誠に貴重な時間なのであります。言うまでもなく、本校教育の原点に立ち帰ることができるからであります。

そのひとつは「目的」であります。目的とは存在意義、あるいはどこまでいっても到達しない究極の方向性を意味し、目標はその通過点や具体的な評価を指します。目の前の成果や評価が重要視されていく社会の風潮がさらに強くなっています。この影響は教育界にも及んでいます。目に見える実績や評価は大切ですが、目標のみで活動する先にあるものは疲弊であることを忘れてはならないと思います。建学精神の実践を通して、すべての卒業生に幸福になって欲しいという思いを、受験生の姿からさらに強く胸に焼き付けるのが私にとっての入学試験日なのであります。少子化や不況など、私立学校を取り巻く環境は年を追うごとに厳しくなっています。それでも理想論を発信し続けることが大切です。理想に向かう時、高いエネルギーが湧きあがります。理想を持ち続けることが現実を変える唯一の道であることを信じています。

「継続」も原点のキーワードです。続けることは少なからず困難が伴うものです。松下幸之助さんの「続ける限り失敗はない」という言葉を、私は強く意識しています。それは継続の困難さを示しているものであるからです。私は十四年間にわたって登校する生徒を出迎えていますが、この小さな行動でさえも、時には苦痛に感じることがあります。心静かに考えていけば、それは寒い、暑いという外的理由ではなく、己の心から発しているものであることに気づきます。己の心に克つことに、継続の意味があるのかも知れません。

さて、行事の欄にも記載されている通り、今月十八日に第三回学校参観を開催いたします。保護者の方々のご来校をお待ち申し上げます。