東関東吹奏楽コンクール

第21回東関東吹奏楽コンクールは、県民文化センターが会場でした。
多くの保護者の方々にご来場いただき、心から感謝するばかりです。

地元開催ということもあり、多くの卒業生と再会できました。
おしゃべりをしているうちに、彼女たちとの思い出がよみがえってきます。

平成22年卒藤田さん・森戸さん
藤田さんは強豪中学校の部長さんでした。
まだ無名だった本校吹奏楽部に入っていれたことを今でも感謝しています。
彼女のフルートは天下一品。何度も涙を流しました。
藤田さんとの朝の会話も楽しみのひとつでした。

体験学習の朝、コンクールのバッチをつけた中学生を見つけて
声をかけました。それが森戸さんでした。
途中から入部したにもかかわらず、部にはかかせない存在でした。
力強いトロンボーンの音色は、本校らしい演奏を支えました。

この子たちが入学した年から、本校はB部門において
東関東コンクールに出場できるようになったのです。
快進撃の始まりでした。

平成23年度卒平井さん
東日本大震災で全体合奏が不可能になった吹奏楽部。
私はコンクールをあきらめていました。

あきらめなかったのが、平井さんをはじめとする3年生たちだったのです。

結城市で開催された県コンクールの会場に到着すると、
顧問の先生から平井さんが熱中症で休んでいることを知らされました。
トランペットのソロを担当する平井さんがいなければ、
もはや演奏になりません。覚悟を決めてステージを見つめると、
平井さんが登場したのです。そして見事な演奏。
演奏後の「3年の意地です」という彼女の言葉は忘れることができません。

仮設校舎の生活という厳しい環境の中で、
東関東を勝ち抜き、そして東日本でも金賞。
3年連続東日本金賞はここから始まったのです。

平成24年度卒綿引さん・川嶋さん
東日本大震災から4日後、綿引さんのお母さんから連絡がありました。
綿引さんのフルートが楽器庫に置いたままなので、取りに行きたいとのこと。
楽器庫は翌日解体される連絡棟の3階にありました。
もちろん立ち入り禁止でしたが、私はフルートを探しに3階へ。
思えば私にとっての復興・復旧の第一歩でした。

川嶋さんはいつも笑顔でした。
演奏会があると、川嶋さんの家族の姿がいつもそこにはありました。
震災後「絆」という言葉が注目されましたが、
私は川嶋さんから「家族の絆」を感じていました。

この子たちは2年を仮設校舎でスタートさせ、
3年3学期に新校舎へ移動した忘れることができない学年です。

今ではA部門においても注目されるわが吹奏楽部ですが、
数々の先輩たちの思いを胸に刻み、
「水戸女子らしさ」を受け継いで欲しいと願ったコンクールとなりました。

校長 鈴木康之