平成19年度
11月
先月下旬に石川県金沢市で開催された第五十五回全国私学教育研究集会に参加しました。記念講演では『国家の品格』の著者である藤原正彦先生の意義深いお話を聴くこともでき、私学のあり方を研修するには絶好の機会となりました。しかし最も刺激を受けたのは数々の講演や発表ではありません。
私は宿泊を伴う出張の時は、地元の高校生の登下校の状況を観察することを心がけています。今回も朝7時過ぎから8時半まで金沢駅の改札口付近で高校生の登校状況を見ていました。驚いたことに、水戸では見慣れてしまっている極めて短いスカート丈の女子高校生の姿は皆無に近い状況でした。水戸駅とのあまりの違いに、後半は細かく観察していましたが、登校のピークを過ぎる時間になっても制服の乱れはほとんどありませんでした。本校生が外部の方から制服の着こなしを褒められることが多い背景には、あまりに他校生の状況がひどいことがあります。金沢駅を本校生が利用していると仮定すると、高い評価を受けることはないと感じました。ごく普通の高校生として映るはずです。
金沢駅には自動改札機が設置されていませんでした。機械的な音の代わりに聞こえたのは、駅員の方の明るい挨拶の声と、駅全体を包み込んでいるモーツァルトの音楽で、なんとも言えない安心感のような雰囲気がそこにはあったのです。
茨城の嘆かわしい状況の要因は「今どきの高校生だから……」と嘆いてばかりいて、生徒の未来を見据えて真剣に指導することを怠っていることであることが証明された光景でした。同時に本校教育の水準をさらに高くしなければいけないと、気持ちを引き締めたのでありました。
ホテルに帰り地元新聞を見ると、一面の見出しは「石川県全国を上回る」でした。全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を報じた記事です。30位台の茨城との差は、駅の状況の違いに象徴されている気がしてなりません。