11月

先月はこれからの時代に対応する私学教育の使命というテーマで、全国私学教育研究集会岐阜大会が開催されました。東京大学宇宙線研究所教授である梶田隆章先生が「神岡でのニュートリノ研究を通して考える理科教育」という演題で基調講演をされました。梶田先生はニュートリノ質量の存在を示すニュートリノ振動の発見により、七年前にノーベル物理学賞を受賞された方です。専門的なことを理解することは叶いませんでしたが、研究を教育に反映させていく姿勢に感銘を受けました。

 

梶田先生が講演の最後に日本の若い世代の課題として示されたのが、「第四十六回国や社会に対する意識」でした。これは日本財団が今年三月に発表した十八歳意識調査で日本を含む六か国を調査しています。

 

「自分は大人だと思う」と回答したのは、日本が二十七%であるのに対し、アメリカやイギリスは八十五%を超えています。欧米に比べ著しく日本が低いことが明らかになっています。「自分は責任ある社会の一員だと思う」は四十八%で、五十%を下回ったのは日本だけでした。インドは八割以上が社会の一員であるとの自覚を持っています。「自分の行動で国や社会を変えられると思う」は、二十六%の日本に対し、他国はすべて五割以上が肯定しています。「国や社会に役立つことをしたいと思う」はインドの九割超えが一位で、日本はやはり最低の六十一%でありました。六項目の調査すべてで日本は最下位でありました。

 

本校の建学精神である「社会に貢献する女性の育成」にとって、社会との関わりが国際的に最低であるのは由々しきことであります。私の授業において、調査結果を伏せて同じ調査をしてみました。「自分は大人だと思う」に回答した生徒は十六%で、日本の回答率を下回る結果でした。「社会の一員である」「国や社会を変えられる」は日本の回答率は上回りましたが、各国とは意識の差があります。しかしながら「国や社会に役立つことをしたい」は回答した生徒は八十九%に達し、インドに次いでの結果でありました。課題はありますが、建学精神を反映できている結果に手応えを感じている次第です。