令和2年度
11月
就学支援金制度が拡充したことにより、年収五九〇万円未満の世帯については、全国の私立高校の平均授業料が支給されることになり、該当する保護者の皆さまの負担は軽減されていることと思います。東京都では都が独自の上乗せをしたことにより、年収九一〇万円未満の世帯には、四十五万円が支給されています。独自の上乗せをしている都道府県は三十三に及び、本県にも強く要請をしていきたいと考えています。
さて、私学の取り巻く状況は就学支援金制度のみならず、大きく変化しています。令和二年度全国私立高校全日制の入学者は、三十四万三〇五六名で、前年度三〇二名の減となりました。北関東は本県が二三五増となったものの、特に首都圏が厳しい状況です。東京都の一一九一減をはじめ、埼玉県三三二減、神奈川県一二七減、千葉県三九九減となり、首都圏だけで二〇四九減となっています。最も就学支援金制度の恩恵を受けている東京都が大幅に減らしていることに違和感を覚えます。
今年度の私立高校全日制総生徒数は前年比一万一三〇減となり、大幅な減少となっています。注目すべきは広域通信制の総生徒数が一万二四四増となっていることです。急激な生徒数の変化は、単に少子化や不登校生徒の増加、コロナ禍ばかりとは言えないようです。社会は大きく「多様化」し、全日制の変化が求められていることを意識しなければならないと考えています。高度情報化社会の到来は、私たちがこれまで当たり前だと考えていたことへの再考を求めています。
情報化社会と並んで「グローバル社会」も教育に変化を求めています。単に語学力の強化ばかりではなく、日本と他国の差異に注目しなければなりません。日本財団による欧米やアジア九ヶ国の若者の意識調査によると、わが国は「自分を大人だと思う」「自分は責任がある社会の一員だと思う」「将来の夢を持っている」「自分の国の将来は良くなる」等で、かなりの差での最下位となっています。真のグローバル社会を見据えた時、私たちの課題が見えてきます。「多様性」と「グローバル」は、捉え方によっては、学校発展のチャンスだと考えています。