4月

四月に入り、いよいよ平成二十六年度のスタートとなりました。今月から一年生を迎えて、学校内もさらに活気づくことでしょう。今年も新入生の保護者の方々との新たなご縁が生まれたことを心から喜ぶとともに、生徒の育成に共に力を尽くしたく、このご縁を大切にしていきたいと決意を強くするものであります。

先月は九州へ出張する機会がありました。行きの飛行機の座席は偶然にも最前列であり、離陸するまでの間、搭乗する乗客を迎え、様々な準備をする客室乗務員の方々の様子を間近に見ることができました。強く感じたことは、彼女達の基本に忠実な行動です。乗客の命を預かっているという高い意識の下に、確認はすべて指先確認で行い、常に真剣に取り組まれていました。客室乗務員は乗客に様々なサービスを提供するイメージがありますが、それを支えている「基本」が大切であることを再認識しました。

本校は昭和六年に「社会に貢献する女性を育成する」という建学精神によって創立された学校です。創立者鈴木米蔵先生は、これからの社会は必ず女性が進出するという考えの下に、県内初の女子の商業学校として本校を創立したのです。まもなく本校は八十三周年を迎えることになります。時代は変わろうとも建学精神は不変です。そして激動の八十三年を支えたのは「基本」を誠実に実践する姿勢なのではないかと考えています。

東日本大震災後、私が最も心がけてきたのは、基本の実践であります。教育には近道はありません。建学精神の具現化をめざし、「当たり前のことを、真面目に、心を込めて」取り組む以外に道はありません。復興が完了した今、本校の原点に立ち返ることが最も大切であると考えています。私立学校の命である建学精神をさらに磨き、社会の悪しき風潮に流されることなく、教育の基本を大切にしていきたいと思いを新たにしている次第です。

教職員一同は、「基本」を忠実に実践し、「感謝」を忘れることなく、今年度も数多くの「共感」をめざし、邁進する所存であります。保護者の方々の御理解と御協力を宜しくお願い申し上げます。