10月

9月中旬以降、兵庫県神戸市の私立高校で飛び降り自殺した男子生徒の報道が続いています。 7月3日の出来事から数ヶ月経って同級生が逮捕されるなど、問題の深さを感じる事件です。

若い世代の自殺率について興味深い事実があります。1960年代から80年代にかけて未成年者の自殺率が減った国は、先進国の中では日本だけなのです。これは当時の教育のあり方と深い関係があります。当時のアメリカは子どもの自主性を尊重し、校則や制服をなくし、好きな科目を選んで単位数に達していれば卒業が認められるような時代でした。日本で言えば「ゆとり教育」の時代だったのです。その時期にアメリカでは少年犯罪と並んで自殺率が激増したのでした。同じ時期にヨーロッパでも教育の自由化が進みましたが、やはり自殺率が2倍から3倍に増えたのでした。受験戦争などと言われた、詰め込み式の教育であった日本だけが自殺率を減らしていたのです。この事実の意味は重いものがあります。

いじめに起因する事件を考えていくと、以前報じられた事件と比較して、内容が変質していることが気になるのです。3年前に長崎県佐世保市で小学6年生が同級生をカッターナイフで殺害するという事件がありました。その時の理由は自分の容姿について悪口を言われたというものでした。殺人に至る理由とは、到底考えられないものなのです。

私が意識しているのは子どもたちの「耐性の低下」であります。耐える力が急速に衰えてきたように感じるのです。自殺にしても殺人にしても、以前だったら理由にもならなかったようなことで、事件に発展してしまうケースが増えてきました。その要因は当然教育のあり方にあるはずです。いじめはもちろんいけないことですが、教育界全体が子供たちに対して過保護になっていないかということです。今も昔も質的な力は変わっていないのというのが私の持論です。ゆとり教育やいじめ対策によって、子どもたちの耐性を奪い、さらに事態が悪化していることを私たちは意識しなければなりません。