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平成19年度 5月

最近出版された「できる会社の社是・社訓(千野信浩著・新潮新書)」は教育のあり方を考える上においても、とても参考になる本です。言うまでもなく企業にとっての社是・社訓は、創業者の鮮烈な思いと理想がちりばめられています。

思想を堅実に 礼節を重んずべし(ヤマト運輸)

善の循環(YKK)

神仏を崇拝し、報恩感謝の生活を為すべし(トヨタグループ)

人を愛し、国を愛し、勤めを愛す(リコー)

企業や創業者の人生観や社会観、世界観に深く根ざした言葉は、激動の時代を生き抜く企業にとって重要な指針であるはずです。平成18年に株式市場に大混乱をもたらしたライブドアには精神的な支柱はなく、儲かるかどうかが行動の基準でありました。儲かることだけで行動を起こすことの愚かさを各企業の社訓は戒めていると感じています。

しかし一方で、社訓は時代とともにどんどん新しいものに置き換えられているのも現状です。時代の要請で、新しいものに取り替えていくのは自然な流れなのかも知れません。しかし「進むべき道」を示した社是・社訓は、社会の状況を超越したものであると思えてなりません。1883年に伊藤萬助が大阪で開業したイトマンの伊藤萬精神には「誠実」「質実剛健」「礼節」などの内容が盛り込まれています。1970年代の再建時に伊藤萬精神は全面的に見直され、「成果配分」「精鋭主義」などに塗り替えられました。裏目に出たこの大転換を私たちは教訓にすべきだと思うのです。社是・社訓を重んじ、忠実に実践する姿勢を貫いている企業は、利潤を得るとともに社会の信頼と共感をも得ています。

社是・社訓にあたるものが私たちにとっては建学精神であり、校訓であると言えるでしょう。建学精神や校訓をただの飾り物にしてはならないのです。私たち自身が建学精神や校訓を「進むべき道」として常に意識し、教育活動に反映させていくことの大切さを再認識した次第です。