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平成25年度 11月

「今の日本にとってもっとも恐ろしいことは、公害でもなければ交通事故でもない。神を恐れざる人間が急激に増えつつあることである。」(昭和四十八年三月発行生徒会誌「青樹」より)

 

これは第三代校長鈴木幹雄先生が、卒業生に贈る言葉として、死去の約三か月前に書き残したものです。その後はもう文章を残していませんから、絶筆といってもいいと思います。

 

死期を迎えた人の言葉には、切実な思いが表われるものであります。今、様々な事件が報道されるとき、この一文は現代の状況も十分言い当てている感があります。

 

古人は、世界の構成者として諸々の存在を感得し、そこに調和の真理を見て、その認識から謙虚や自警の姿勢を持したものであります。私たちは、人間を絶対的な中心とした視角しか持たない現代人の驕りを認め、古人の生きた世界が、現代人のそれよりはるかに広く豊かに展開されていたことを知るべきだと痛感し、教育の重要性を再認識する次第です。

 

教育の問題を考える時、私学教育の意義や必要性が大きなものになりつつあるということを強く感じます。これは数量的な側面ではなく、普遍的な公立学校に対する個性的な私学教育のもつ意義の問題であります。

 

現代は不透明な時代です。物事の適確な判断や、将来の明確な予測が可能な人は、極めて少ないはずです。教育の分野でも同様であり、一貫した理念を立て得ないままに、次々に発生する事象にその場しのぎの対応を余儀なくされているのが現在の姿とも言えるのであります。

 

一方、私塾の伝統を背景に持つ私学教育は、本来、魂の結びをもって人をつくることを第一義として一貫してきたものであり、また、辛酸の歴史ともいえる苦難を経ながら不動のものを磨きあげた不抜の過程を保有するものであります。最初に紹介した鈴木幹雄先生の絶筆があてはまる現在の状況を思う時、いよいよ私学教育が社会に貢献する時が到来したと確信すると同時に、私学としての本校教育のさらなる確立に懸命の努力と情熱を傾注する決意を新たにした次第です。