4月

4月に入り、いよいよ平成20度のスタートとなりました。今月から1年生を迎えて、学校内もさらに活気づくことでしょう。今年も新入生の保護者の方々との新たなご縁が生まれたことを心から喜ぶとともに、共に生徒の育成に力を尽くしたく、このご縁を大切にしていきたいと決意を強くするものであります。

九年前にギャラップ社が日本・アメリカ・タイ・中国・フランスの五カ国の国民を対象にして、世論調査を実施しました。その調査項目に「子供の教育で最も重要な役割を果たすのは何だと思いますか。」という質問があり、興味深い結果が出ています。家庭、学校、地域という選択肢があるのですが、各国は共通して家庭が最も重要な役割を果たすと回答しています。注目すべきは、学校と回答した割合に大きな開きがあったことです。中国は46%、タイが26%、フランスが13%、アメリカが12%と回答する中で、日本はわずかに5%なのであります。学校教育にはほとんど期待していないと言っても過言ではありません。参考までに、自分よりも世の中のためを優先する割合と、自分の国に誇りを感じている割合は、5か国中最低でありました。なぜそのようなことになってしまったのか、真剣に考える必要があります。

何のために学ぶのかという、教育の原点をしっかり見据えていくことが重要であります。福沢諭吉や橋本左内、大村益次郎が学んだ適塾は、最新の医術を学ぶ学校でありましたが、決して技術としての医学は教えませんでした。松下村塾も同様で、学問だけを極めた塾ではなく、志を至誠という行動原則によって実現させようとした学びの場でありました。

人格教育を忘れ、知識教育や技術教育のみを重視した学校のあり方が世論調査の結果に反映されています。新たな年度のスタートに際し、改めて人格教育の必要性を強く意識する次第であります。

今年度も意義ある教育活動をさらに高め、建学精神の具現化に教職員一同、常にプラス志向を心がけ邁進する所存であります。保護者の方々の御理解と御協力を宜しくお願い申し上げます。