12月

以前にも述べたことがありますが、江戸時代の人々は教育に大変熱心であったことがわかっています。寺子屋での様子を調べていくと、心温まる光景が数多くあるのです。一例をあげると、寺子屋での教育には「あやまり役」というものがあったようです。子どもが悪さをして先生に厳しく叱られている時に、頃合を見計らって親や近所の老人、先輩や先生の奥さんなどがやって来て、一緒に先生に謝ります。時には先生に叱られる前からあらかじめ登場を頼んでおくこともあったそうです。寺子屋教育に限らず、社会全体の子育てに対する意識の高さが江戸時代の特長であると思います。

江戸時代の子育てに関する代表的書物に「養育往来」があります。往来物とは寺子屋などで使われた教科書を意味する言葉でありますから、子育ての教科書というべきものです。「養育往来」の内容を見ていくと、現代の教育のあり方にも通ずることが多くあり、私自身も身の引き締まる思いがします。『江戸の子育て十カ条』(小泉吉永著 柏書房)には、養育往来の要点を十カ条にして解説してあります。

・子育ての失敗はすべて親の責任
・まずは親の姿勢を正すべし
・子どもへの愛情をはき違えるな
・早く善悪を教え、特に悪を厳しく戒めよ
・子どもには苦労をさせ、我が儘を許すな
・礼儀作法をしっかりと教えよ
・子どもの友人や遊びを吟味せよ
・教師と親が心を一つにして教育せよ
・学問の目的を見誤るな
・子育ては試行錯誤の連続、誠の心で向き合え

機会があればさらに詳しく述べたいと思いますが、子育ての心得としては、今こそ再認識すべき事柄ばかりではないかと考えます。
さて、19日に今年度2回目の学校参観を予定しております。ご息女の学校での姿をご覧いただき、また教育研修会は「教師と親が心をひとつにして教育する」機会にしたいと思います。

一年間の本校教育に対する御協力を深謝しつつ、揃って良い年を迎えられるよう祈念申し上げます。