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平成18年度 3月

今年も3月となり、蛍雪の功成った3年生を送り出す時となりました。新卒業生の保護者の方々には、心からの祝意とともに、3年間にわたる本校教育への御協力を厚く感謝申し上げます。

今から12年前に「EQ こころの知能指数」という本が出版されました。ダニエル・ゴールマンが書いたこの本は、IQと呼ばれる知能指数の限界を指摘し、感じる知性であるEQ(Emotional Intelligence)の重要性を説いたものでした。今年に入り「SQ 生き方の知能指数」という本が同じ著者によって出版されました。EQの出版後、脳科学の急速な発展に伴い、新しい事実が解明されたのです。著者が強調しているのは、他者の感情を読み取って連動する「社会脳SQ(Social Intelligence)」の存在です。人間の脳は、他者の脳と反応しあい、つながりあうようにできているのだそうです。

この本の中でとりあげた、モントリオール・マッギル大学の神経科学者マイケル・ミーニー先生のマウスを使った実験は興味深いものがあります。生後12時間の間に、母マウスが子マウスをどれくらいかいがいしく舐めて世話をするかによって、子マウスの学習能力とストレス耐性を左右する脳内化学物質の生成量が決まるというのです。母マウスが世話をすればするほど、子マウスは頭の働きがいい、自信を持った勇敢なマウスに育っていき、母マウスがあまり世話をしない子マウスは、頭の働きが悪く、恐怖に圧倒されてしまうマウスに育っていくのです。そのまま人間に当てはめるのは無謀ですが、大きなヒントにはなるはずです。豊かな人間関係を築くことができれば、脳はさまざまな機能を調整しながら情動の変化に対応し、心臓から免疫細胞に至るまで、健康によい影響をもたらすのです。ITなどの発達や環境の変化により、人とのかかわりが薄くなった時代だからこそ、人間の基本的なあり方を意識したいと思います。

新卒業生の巣立ち行く時を迎えて、感慨も無量でありますが、ひたすらその人生に幸多かれと心より祈ってやまないのであります。