12月

連日の報道ですでにご存知の通り、全国各地で「いじめ問題」が深刻な問題となっています。十一月六日付で文部科学大臣宛てに自殺予告文が届いて以来、文部科学省や各教育委員会への手紙は後を絶ちません。本校にも自殺予告文のコピーが私学振興室から送信されてきたのが六回にものぼり、該当者の調査を求められたことも数回ありました。また先日は二十六項目からなるいじめ対策の自己評価の依頼もあり、先月はその対応に追われた一ヶ月間でありました。言うまでもなく、腫れ物にさわるような教育では、建学精神に基づいた人材の育成はできるはずがありません。しかしこのような当たり前の事を、連日の対応の中で意識していく大切さも再認識いたしました。

十一月二十五日付の毎日新聞に注目すべき記事が掲載されていました。都留文科大学教授河村茂雄先生が全国の児童生徒約五万人を対象に、教師や同級生との関係などを問う「QUテスト」と呼ばれる心理テストを実施しました。その分析の結果、学級の特性といじめとの相関性が判明したというのです。河村先生は学級の特性について、「なれ合い型」と教師が厳しく指導する「管理型」に分類しています。平成十年と今年を比較すると、小学校では「なれ合い型」が倍増して半数を占め、中学校でも「なれ合い型」が倍増しているのです。そして小学四年~六年において「長期間いじめを受けてつらい」という生徒の所属学級は、約半数が「なれ合い型」であります。このタイプの学級は、初めは教師と生徒が良好な関係のように見えますが、最低限のルールを示さないため、生徒間の関係は不安定で、けんかやいじめが生じやすいのです。教師の指示を無視するばかりではなく、一度起こったいじめを止めるのは困難で、助長や加担の恐れまでが予想されるのであります。

今こそ毅然とした学校のあり方が必要とされる時代であるのです。社会の悪しき風潮に流されることなく、理想の教育の実践に決意を新たにした次第です。

一年間の本校教育に対する御協力を深謝しつつ、揃って良い年を迎えられるよう祈念申し上げます。