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水戸女子高等学校
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校舎と生徒

学校長より

飾りウェーブ

平成30年度

6月

この時期の学校通信は、六年続けて南三陸町を訪問した時の様子について述べてきました。今年も同じ時期に私は南三陸町へ車を走らせました。

平成二十四年は、絶望的な状況の中でも必死に復興へ向けて頑張っている地元の方々の姿から、「すべてを飲み込んで全力を尽くす」心を強く感じ、翌年は復興が着実に進んでいる様子から、勇気と美しい海を感じ取るための「真っ白な気持ち」でいることの大切さを学びました。そして二十六年は「忘れない」という大事なことを、二十七年は福島県の帰還困難区域の厳しい現実から「続いている、そして続ける」ことを、二十八年は「責任」を感じ、昨年は「なつかしい未来」に向けて力強く復興を遂げていることを感じました。

瓦礫の山と鉄骨だけとなった防災庁舎を見て、もはやこの場所での復興はあり得ないのではないかと感じたのは六年前でありました。あれから六年が経ち、土地はかさ上げされ、力強く復興が進んでいます。同じ町とは思えないほどです。あの時と同じなのは美しい海です。南三陸さんさん商店街は多くの方々で賑わいを見せています。その一角に「佐藤信一常設写真展示館南三陸の記憶」があります。決して忘れてはならない写真の数々を目に焼き付けてきました。

大川小学校跡には津波に襲われたままの校舎の前で、人々が祈りを捧げています。裏山には津波の高さを示す標示が白く映し出されています。心が痛みます。

東日本大震災発災から復旧、復興と長い道のりが続いています。今年私が強く感じたのは自然と「共に生きる」ということでした。以前にも学校通信で述べたことですが、わが国の歴史は自然災害の連続でありました。縄文時代には火砕流により南九州が全滅したとも推測されています。自然災害に幾度となく見舞われ、その度に復興に向けて汗を流してきました。南三陸町の復興の軌跡を見る時、それは災害との戦いではなく、「共に生きる」運命を感じるのです。自然と共に生き、仲間と共に生きている自分をしっかり見つめ直す機会となりました。生徒たちと、そして先生たちと共に生きている日々を大切にしたいと改めて心に誓いました。