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平成28年度 10月

今年に限ったことではありませんが、各地での自然災害が気懸りです。一月には四〇年ぶりの寒波で、死傷者は百人を越えました。二月には鹿児島県桜島で爆発的噴火が発生し、さらに四月には熊本地震が発生し、被害総額は三~五兆円と推計されています。後半には台風が相次いで北海道に上陸し、大きな被害をもたらしました。

災害関係の書籍の中で、私が最も興味を抱いたのは、「西日本大震災に備えよ(鎌田浩毅著 PHP新書)」でした。様々なデータの分析により、多くの方々が近い将来南海トラフ巨大地震を予測しています。鎌田さんも二〇三〇年代の発生を予測しています。人口の半分近い六〇〇〇万人が深刻な被害を受け、経済的な被害総額は二二〇兆円にのぼり、GDPでは東日本大震災が三%程度の落ち込みだったものが、一〇倍以上になることが必定であると推計しています。現在、国は「想定外をなくせ」という合言葉のもとに、南海トラフ巨大地震で起こりうる災害を定量的に予測しています。しかし果たしてそれは可能なのでしょうか。

災害に見舞われ続けてきた我が国は、独自の思想が根付いているはずです。かつての日本には、「大雨が降ったら川は氾濫するのが当たり前」という見方があり、氾濫する川に対抗するのではなく、むしろ流れやすい橋桁を架けることで、自然の力に寄り添うという発想がありました。残った橋脚の上に橋板のみを架け替えるというものです。インフラを失っても、工夫することで生活に支障をきたさずに暮らす知恵がありました。

この本は大震災への警鐘を鳴らすと共に、我々日本人の祖先が幾多の自然災害をくぐり抜け、子孫をはぐくんでくれたからこそ、今日の我々がいることを教えてくれています。七三〇〇年前、薩摩硫黄島で巨大噴火が発生し、火砕流が南九州を襲い、これに加えて大津波や大地震も発生し、南九州の縄文人は死滅しました。今の鹿児島市の繁栄からは予想もできないことです。私たちの中に流れている日本人のDNAが、数え切れない大災害を克服してきたと言えるのではないでしょうか。それを意識し、継承していくのも教育の大切な使命だと考えます。