学校長より

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平成27年度 5月

入学式の数日後、一年生が昇降口左奥に設置されている「メモリーズ」で、被災した校舎の写真を見ていました。思わず近寄って説明をすると、彼女から返ってきた質問は「これはどこの建物ですか」という、彼女にとっては当然の疑問であり、私にとっては戸惑いを隠せない質問でした。すでに旧校舎を知っている生徒はいないという現実があります。しかし、伝えていかなければならない使命もあります。

生徒達と朝の挨拶を交わすには大変良い季節となりました。木々も次第に緑が濃くなって、目にも鮮やかです。道路側から校舎を眺め、ふと視線を落とすと忘れてはならない、黒く汚れた部分が校舎に向かって伸びています。平成二十四年四月二十六日に校舎建設が着工し、インターロッキングを守るために、数十枚の鉄板が敷かれました。以来八か月に渡る建設工事の間、無数の工事車両がその鉄板の上を通過し、インターロッキングを保護したのでした。鉄板が引かれていなかった、花壇近くの幅約三十センチの部分が黒く汚れたままになっているのです。また、校門左側の下には、五つの穴が開いています。校舎建設の看板の支柱を設置するために開けたものです。毎朝それらを見る度に、新校舎に係わったすべての方々への感謝の気持ちが湧いてきます。

人が変わっても、伝えていかければならないものがあります。私立学校にとって、それは建学精神であります。すべての教育活動は建学精神につながっていることを、生徒達には伝え続けなければなりません。そして、建学精神を支えて下さった人々の思いも同時に伝えていく使命が、我々にはあると強く感じています。澄んだ朝の空気の中で、汚れたインターロッキングや校門の穴を見ると、目には見えないたくさんの方々の激励をいただいているような気がします。

ふと視線を校舎に移すと、朝の自主練習前にソフトテニス部の生徒達が昇降口を掃除している姿を見ることができます。本校の精神が着実に受け継がれていることを確信する、美しい場面であります。