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水戸女子高等学校
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学校長より

飾りウェーブ

平成25年度

2月

一月十五日に恒例の歌会始が、皇居正殿松の間において開催されました。私は私学代表の一人として、陪聴者という立場で出席することができました。

歌会始の起源は必ずしも明らかではありませんが、文永四年(一二六七)一月十五日に宮中で歌御会が開催されており、以降歌会の記録が断続的に見受けられます。江戸時代はほぼ毎年催され、明治、大正、昭和と改革を加えられ現在に至っています。天皇陛下をはじめとする皇室の方々と、国民が同じ会場で執り行う国民参加の文化行事となりました。今年のお題は「静」であります。

前夜に東京へ移動した私は、当然ながら大変緊張して当日を迎えました。坂下門から参入し、北車寄から宮殿に入ると、控室である春秋の間へと案内されました。すでに三十人ほどの方々がいらっしゃいましたが、張りつめた緊張感がさらに高まっていきます。しかし時間が経つにつれて「堅苦しさ」から「温かさ」へと気持ちが変わっていくのを、私はしっかり感じることができました。宮内庁の方々の心のこもった応接、SPのつくことのない政府要人の姿、そして正殿松の間で全員起立の中、お出ましになられた天皇陛下のお姿を拝見できた時、私の心の中は「温かな心」に包まれていったのです。一般応募の一万一千六百八十首の中から入選した十首が古式ゆかしい独特の節回しで披講され、最後は天皇陛下の御製で歌会始は終了となりました。天皇陛下が御退出になられる際に、私たちに心を込めて礼をされた時、「温かさ」は最高潮となり涙があふれるばかりの感動的な瞬間となりました。

教育には「型」が必要です。何事も型を体得することから始まります。もっと大切なことは型を支える「温かさ」であることを歌会始に出席して学びました。その「温かさ」こそがわが国の歴史を支えているのだと強く感じました。そしてその「温かさ」は「当たり前のことを、真面目に、心を込めて」から自然に生まれてくるものだと確信しています。

御製

慰霊碑の先に広がる水俣の

海青くして静かなりけり