11月

新校舎完成に向けて建設工事が急ピッチで進んでいます。十月二十七日の休業日も、七時前から校舎三階部分のコンクリート打設工事のため、次々に到着するコンクリートミキサー車の音、現場の方々の声をBGMにこの原稿を書き上げました。

厳しい環境が続く中で各部の活躍はめざましいものがあります。各運動部の新人戦の先陣を切り、ソフトテニス部は県新人戦団体ベストエイトに入賞し、昨年の成績を上回ることができました。学校で練習できないハンディを乗り越えて、日々明るく頑張ってきた成果であろうと考えています。

昨年度を上回る成績で言えば、吹奏楽部の躍進は目を見張るものがあります。全体合奏ができない環境の中で、先月は青森県八戸市で開催された第十二回東日本学校吹奏楽大会に東関東代表として出場し、見事第一位での金賞獲得となりました。今年の四月から聴き続けてきた「マゼランの未知なる大陸への挑戦」は、東日本トップの演奏にふさわしい、堂々とした王者の演奏でありました。大震災後、私に勇気を与え続けた彼女達の演奏がついに完結した瞬間でありました。

東日本大会が終わって数日後の朝、いつものように校門に立っていると、吹奏楽部所属の生徒を送ってきた保護者の方が私の元へいらっしゃいました。そして車中での娘さんとの会話を私に伝えて下さいました。東日本大会で金賞を獲得できたこと、充実した学校生活であることの後に、「授業料を出してくれてありがとう」と感謝の言葉を伝えてくれたのだと、涙を浮かべて語って下さいました。聞いている私も思わず胸が熱くなりました。本校の教育の成果は、優勝や金賞の時にこそ明らかになるからであります。

私は行事や大会で一番意識していることは、実績の先にあるものです。充実感や達成感を通して生徒達が何を感じ、その後の改善へと繋げていくのかを見届けるのが私たちの役目です。「勝ちさえすればいいのだ」という風潮の中で、本校はすべての機会を生徒達の成長のチャンスと捉えていきたいのであります。

東日本大会金賞獲得の第一報を聞いた時以上に、手応えのある保護者の方との会話でありました。