1月

謹んで新年のお喜びを申し上げます。

年の初めにふさわしい穏やかな正月でありました。静かな元旦の気分を味わいながらも、新しい年への思いを新たにした次第です。

昨年は本校にとって激動の一年となりました。言うまでもなく東日本大震災で大きな被害を受け、手探りの中での復旧はこれまで経験したことのない出来事でありました。さらに先月十三日には桜川市にある林間教場が、不審火によって全焼してしまいました。放火と思われますが、誠に残念でなりません。すでに今年度から使用していない施設でありましたが、現地でその無残な姿を見た時は、三月以来の疲れが一気に吹き出た思いがしました。

林間教場は昭和四十六年に岩瀬町(現桜川市)富谷に完成し、以来昨年度まで各学年とも二泊三日の日程で研修を実施してまいりました。教師と生徒、生徒相互間にしみじみと通い合う心の触れ合いを通して、本校教育の中枢を担ってきたのであります。本校での一番の思い出として、宿泊研修を挙げる卒業生が最も多いことからも、彼女達の心の中に生き続けている本校の命でありました。

今年は本校が大きく生まれ変わる年となります。私が一番意識していることは、林間教場での研修を貫いてきた本校の命を新校舎に吹き込むことです。八十年に及ぶ本校教育の実践は、約二万人の卒業生や地域の方々の心の中に生き続けています。生き続けている本校の命を新校舎に吹き込んでこそ水戸女子高校の新校舎であると考えています。

備えとは船や砲との謂ならずこの敷島の大和魂

吉田松陰が詠んだこの歌は、国の守りについて思いを表現したものですが、本校に共通するものを示唆しています。特に今年は意識すべき一年であります。

今年も社会に貢献する女性の育成という建学精神に基づき、教職員一同、「正義に基づき」「真摯に」「強みを意識して」、当たり前のことを、真面目に、心を込めて取り組んでまいります。保護者の方々の御理解と御協力を宜しくお願い申し上げます。