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水戸女子高等学校
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学校長より

飾りウェーブ

平成23年度

6月

東日本大震災からまもなく三カ月になります。ニュースや新聞等では、依然として震災の影響を伝える内容が連日報道されています。深刻な状況はまだ続くことが予想されますが、しっかりと前を向き、着実に歩みを進めることが大切であることは言うまでもありません。

修学旅行の引率で不在にしていた私が、東日本大震災の一報を聞いたのは比叡山延暦寺でありました。私の携帯電話には、一年生は全員校庭へ避難させることができたとの冷静な報告と同時に、未曾有の震災を感じさせるメッセージが残されていました。あのメッセージ以降、あっと言う間に時が過ぎていきました。原点を見据えて将来を展望する時なのかも知れません。

ご存知の通り、比叡山延暦寺は天台宗の宗祖である最澄が開きました。生徒達は震災直後に根本中堂での講話で最澄の教えを聴くことができたはずです。そのキーワードは「一隅を照らす」であります。

国宝とは何者ぞ
宝とは道心なり
道心ある人を名づけて国宝と為す
故に古人の言わく
径寸十枚是れ国宝に非ず
一隅を照らす
此れ則ち国宝なり

「径寸」とは金銀財宝のことです。つまり最澄は「金銀財宝が国の宝なのではない。それぞれの人間が、今いる場所で精一杯頑張ることが国の宝なのだ」ということを「一隅を照らす」という言葉で表現しています。震災後三カ月になろうとしている今、最澄の言葉は新鮮に響いています。一隅を照らし続けることが真の復興につながる唯一の道であると信じてやみません。

さて左欄にも掲載されている通り、フェンシング部、新体操部、空手道部の各部が今年度の関東大会への出場権を獲得いたしました。状況を嘆くことなく、一隅を照らすことに専心した各部を、心から誇りに思う次第であります。