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平成21年度 5月

「賢者は歴史に学び愚者は体験に従う」とはビスマルクが残した名言です。体験に従うことの繰り返しから前例主義が横行し、閉塞状態になっているのが現在の教育界の姿です。歴史は時の流れを超えて、私たちに「道」を示しています。先人の生きる姿勢や息遣いを感じ、その中から「あるべき姿」を生み出し、実践していく力を身に付けていくことが「歴史に学ぶ」ことであると思います。
1549年に来日し、キリスト教を日本に伝えたのは、御存知の通り、聖フランシスコ・ザビエルであります。ザビエルはキリスト教を広めただけではなく、日本人のあり方を私たちに伝えてくれています。
「この国の人々は今までに発見された国民の中で最高であり、日本人より優れている人びとは、異教徒のあいだでは見つけられないでしょう。彼らは親しみやすく、一般に善良で悪意がありません。驚くほど名誉心の強い人々で、何よりも名誉を重んじます。大部分の人は貧しいのですが、武士も、そうでない人々も、貧しいことを不名誉とは思っていません。」(聖フランシスコ・ザビエル全書簡3 河野純徳訳 平凡社)
この他にも日本人の識字率の高さや、太陽への崇拝、主従関係を重視しているのは、罰を受けないためではなく、名誉を失うことを恐れているからだということを書簡に記しています。食生活に恵まれていないにもかかわらず、不思議なほど健康で、老人たちがたくさん住んでいるなどの記述もあります。
景気が落ち込んでいるとはいえ、日本は世界有数の経済大国であり、豊かで快適な国であります。そのような社会になった今だからこそ、かつての日本人が大事にしてきた考え方、文化をしっかり見つめていくことが必要であると強く感じます。おそらくザビエルが見た日本人の姿は、その当時に限ったことではなく、それ以前もそれ以降も持ち続けていた考え方、文化であるはずです。名誉という言葉が新鮮に聞こえるほど、心の貧しさが原因とされる出来事が続いています。改めて日本の未来を見据えた教育の実践を、強く決意した次第です。