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平成20年度 7月

中国の唐朝第二代皇帝の太宗(598~649)は、中国史上最高の名君といわれています。その名君と部下との対話をまとめた本が「貞(じょう)観(がん)政(せい)要(よう)」であります。日本には桓武天皇の時代に入ってきたようです。興味深いことに当時の歴代天皇や、北条、足利、徳川といった時代の為政者たちがこの本に学んでいます。論語が抽象的な内容だったのに対し、貞観政要は極めて具体的で、リーダーはどうあるべきなのかという内容であることが要因なのだと思います。
私が一番驚いたのは、太宗の謙虚な姿勢です。唐の皇帝と言えば絶対的な権力を持ち、独裁政治を進めているというイメージがあります。確かにそのような皇帝が圧倒的に多いのは事実です。
太宗は諫議(かんぎ)太夫(たいふ)という役職を置きます。これは皇帝に忠告したり、時には諫言したりすることを役目とします。皇帝にとって耳の痛い内容を忠告することなど、その当時を考えれば想像もできないことですが、これを機能させることによって太宗は国づくりを着実に進めることができたのでした。「私が悪事を働けば、お前はそれを必ず記録するのか」と太宗が問えば、「職責を守ることが道徳に適うことだと思っています」と諫議太夫が答えるといった具合です。
貞観政要を貫いているのは、創業の成ったあとの守成をどのようにやり遂げていくかということであります。貞観十年に太宗は群臣に向けて「帝王の業、草創と守文といずれか難き」と質問しています。創業の困難を忘れて贅沢華麗を追求することの愚かしさを論理的に諫言する部下と、それを真摯に受け止める太宗のコンビネーションによって唐は発展し、それを忘れた後の世代に滅んでいくのでした。いかなる時でも自らを慎むことが大事であるということを、貞観政要は教えてくれているように思えます。
最近報道されている飛騨牛の偽装や、うなぎの産地偽装などの止まらない不祥事を考える時、貞観政要の精神に再発防止の答えがあるように思えてなりません。